一人親方も知っておきたい建設業法違反
建設業法では、その目的を達成するため、法律に違反した場合の罰則が定められています(建設業法第8章)。
罰則の内容は、違反事実に応じて規定されていますが、最も重いものは、
・建設業の許可を受けないで許可が必要な建設業を営んだ者
・営業停止処分に違反して営業した者
などで、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。
また、営業所や工事現場への標識の掲示をしない者等についても10万円以下の過料に処せられる場合があります。
違反行為を企業の役職員が行ったときには、直接の行為者(役職員)を罰するだけでなく、その企業(法人)にも最高1億円以下の罰金刑が科される場合があります。
建設業法の違反例
建設業法違反をした場合には罰則を受けることとなるのですが、そもそも建設業法違反とはどのようなものがあるのでしょうか。重大な罪を犯した場合だけが該当するわけではないため、注意が必要です。
刑法に違反した場合
刑法に違反した場合、つまり犯罪行為を行った場合ということです。
犯罪など起こすはずがないと考えているかもしれませんが、絶対にないとは言い切れません。
役員の傷害や暴行といった、比較的軽微な犯罪でも処分の対象となる可能性があります。
身近なトラブルが、建設業許可の取消にまで発展する可能性があるのです。
また、公共工事の入札に不正に関与した場合や、窃盗・詐欺などの犯罪により処分を受ける場合も数多くあります。
定められた金額を超えた契約をした場合
建設業許可には、一般建設業と特定建設業の2種類があります。
下請契約であっても、6000万円を超える契約を行う際は特定建設業許可が必要となります。
しかし、特定建設業許可を取得していないにもかかわらず、その金額を超えた契約をすると処分の対象となります。
また、建設業の業種区分ごとに定められた許可を受けていないにもかかわらず、契約をして処分を受けることもあります。
建設業法に違反したときの罰則の種類
建設業法に違反するような行為があれば、その業者はペナルティを受けることとなります。そのうち、刑事裁判としての手続きを通して、裁判所が決定する刑事罰のことを罰則といいます。建設業法違反により科される罰則と、具体的な違反行為の内容は以下のとおりです。違反行為の内容により、罰則の内容にも様々なものがあるのです。
建設業法の罰則
建設業法第55条「10万円以下の過料」
- 廃業届の届出を怠った者
- 営業所及び工事現場に必要とする標識などの掲示義務違反
- 帳簿の不備や虚偽の記載をした者
建設業法第52条「100万円以下の罰金」
- 請け負った工事現場に主任・監理技術者を置かなかった
- 国土交通大臣又は中小企業庁長官の検査時に発見した是正事項に対する是正の報告をしない、あるいは虚偽の報告をする
- 中間検査や竣工検査等を拒んだり妨げたりした場合
建設業法第50条「6カ月以下の懲役または100万円以上の罰金(併科)」
- 許可の申請書や変更届を虚偽記載して提出した場合
- 経営状況分析申請を虚偽記載して提出した場合
- 経営規模等評価申請を虚偽記載して提出した場合
- 許可基準を満たさなくなった、あるいは欠格用件に該当したのに届け出をしなかった場合
- 建設業法第47条「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科)」
500万円以下の工事以外で無許可の建設工事を請け負う建設業を営業した場合
- 下請契約制限違反
- 営業停止及び禁止処分に違反して建設業を営んだ場合
- 虚偽・あるいは不正により許可を受けた場合
建設業法違反が発覚し、時には建設業許可が取り消されてしまう場合もあるのです。
特に、建設業許可を取得した会社の役員は、会社の行く末に大きく影響を与える存在です。
違反行為をしないようにするとともに、仮に違反してしまった場合には即座に必要な対応をするようにしましょう。