一人親方になったら、労災保険の加入など必要な手続きを解説!
建設にかかわる分野の労働形態でみられる、一人親方。一口に一人親方といっても、実際にどのような働き方をしているかによって、社会保険の加入形態が異なってきます。
また、手続きに不備があると、場合によっては建設現場入場制限の対象となり、現場での作業が進められなくなることもあるので注意が必要です。
今回は一人親方が知っておくべき基本的な情報や求められる手続きについて紹介します。
一人親方建設業共済会3つの特徴!
年会費6000円の
一人親方団体
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一人親方とは
建設業を中心に、労働者を雇わずに自分自身のみ、または自分自身とその家族だけで事業を行っているものを一般的に「一人親方」と呼びます。建設業での一人親方は、大工工事業や左官工事業、電気通信工事業といった建設現場で働く人を言います。
一人親方の定義は概ね以下の通りです。
- 特徴1)「会社雇用ではなく、個人で工事を請け負うこと」です。請負契約が本人名、会社名どちらであっても、個人が請け負う流れとなります。
- 特徴2)「特定の会社に所属はしているが、その会社と個人で契約をし仕事を請け負っていること」です。所属会社は発注者となり、所属会社と個人契約をして作業を行うこととなります。
- 特徴3)「グループで仕事を行っていても、お互いに雇用関係はない状態のこと」です。例えば一人親方のグループで仕事を請け負った場合、一人親方同士は雇用関係はないので、発注者は契約を結んだ者となります。
- 特徴4)「個人事業主であり、労働者を雇わないこと」です。ただし、特例として「年間100日未満」であれば労働者を使用しても一人親方と定義されます。
働き方によって異なる一人親方
一人親方とは雇用関係のある労働者ではなく、事業主のことを言います。
事業主であれば労働者とはならないため、労働法の対象外となり、長時間労働、割増賃金、有給休暇等の規制を受けることはありません。
また社会保険においても事業主負担のある健康保険・厚生年金保険ではなく、個人事業主の場合、ご自身で国民健康保険・国民年金に加入することになります。
そのため、会社としてのコスト負担が軽減され、従来と同じ働き方にも関わらず同様の条件で働かせる「偽装一人親方」が加速すると懸念されています。
「請負事業者としての一人親方」と「労働者としての働き方に近い一人親方」の違いですが、国土交通省の資料「みんなで進める『一人親方』の社会保険加入」によると、次のような点が区別のポイントとして挙げられています。
請負としての働き方に近い「一人親方」
- 仕事が早く終わった後、予定外の仕事を頼まれたとしても断る自由がある
- 毎日の仕事量や進め方などは一任されており、自分の裁量で判断できる
- 工事の出来高見合いで報酬が支払われる
事業主として、個人で社会保険に加入すればよい可能性が高いです。 |
労働者としての働き方に近い「一人親方」⇒いわゆる「偽装一人親方」
- 仕事が早く終わった後、予定外の仕事を頼まれ たとしても断る自由がない
- 毎日、細かな指示、具体的な指示を受けて働く
- 一日当たりの単価など働いた時間により報酬が 支払われる
(一人親方)仕事を依頼されている会社の社会保険に加入すべき場合があります! (企業)自社の従業員として、社会保険に加入させなければならない場合があります。 |
一人親方になったときに必要な手続き
一人親方になったときに行う主な手続きとして、社会保険の加入があります。社会保険とは、雇用保険、医療保険、年金保険、労災保険など、国民の生活を保障するための公的な保険制度であり、事業所の種別や就労形態によって加入すべき対象が異なります。
一人親方が加入すべき保険として、就労形態別に次のようなものが挙げられています。
一人親方が個人事業主の場合
医療保険(いずれかに個人で加入します)
- 国民健康保険(いわゆる市町村国保)
- 国民健康保険組合(建設国保など同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される組合)
年金保険(個人で加入します)
- 国民年金
法人に所属する常用労働者の場合
雇用保険
医療保険(いずれかに加入)
- 協会けんぽ
- 健康保険組合
- 適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保など同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される組合)
年金保険
- 厚生年金
一人親方労災保険の特別加入
また、必ず加入するべきものではありませんが、一人親方が加入を検討しておきたいのもとして労災保険が挙げられます。
労災保険は、本来、雇われている人向けに用意されているもので、原則として建設現場では元請業者が一括して下請業者の労災保険加入手続きを行うことになっています。
そのため、本来であれば一人親方は加入することができません。
しかし、建設業における業務の実情、災害の発生状況を鑑みて、労働者を使用していない一人親方の事業主であっても特別加入できる仕組みが用意されています。
労災保険に特別加入することによって、通勤途中や業務中の災害によるけがなどの治療費の補償のほか、休業や障害に対する補償、死亡時の遺族補償などが受けられます。
一人親方が労災保険に特別加入するには、自身を労働者とみなす必要があるため、事業主としてみなされる特別加入団体を新たにつくるか、すでにある特別加入団体に入る必要があります。
一人親方が押さえておきたい社会保障制度
国土交通省の策定した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」によると、
元請企業に対し、社会保険に未加入である建設企業を下請企業として選定しないよう要請するとともに、適切な保険に加入していることを確認できない作業員について、特段の理由がない限り現場入場を認めない取扱い」としています。
一人親方の場合であっても、それぞれの雇用形態、労働条件、労働形態に応じて社会保険への加入がもれなく行われていないとということを、忘れないようにしましょう。
その他、一人親方が利用できる以下の補償制度について、リスクや資金繰りを考慮しながら、必要に応じて検討されてはいかがでしょうか。
- 1)引退時に退職金として受け取ることのできる建設事業者向けの「建設業退職金共済制度」
- 2)廃業時に共済金を受け取ることのできる個人事業主向けの「小規模企業共済制度」
- 3)取引先の倒産によって代金回収が困難な場合に無担保、無保証人で共済金の貸し付けが受けられる「経営セーフティ共済」
一人親方が従業員を雇ったときの手続き
新たに雇った人が家族でない場合に加入すべき社会保険は、常用労働者の数によって次のような違いがあります。
【常用労働者が1人から4人の場合】
医療保険(いずれかに個人で加入します)
- 国民健康保険
- 国民健康保険組合(建設国保など同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される組合)
年金保険(個人で加入します)
- 国民年金
雇用保険(事業主が加入手続きをします)
- 雇用保険
【雇用保険の加入対象となる条件】
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上継続して雇用される見込みである
- 昼間部の学生ではない(休学中など一部例外あり)
【常用労働者が5人以上の場合】
医療保険(事業主が加入手続きをします)
- ・協会けんぽ
- ・健康保険組合
- ・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保など同種の事業・業務の従事者を組合員として組織される組合)
年金保険(事業主が加入手続きをします)
- 厚生年金
雇用保険(事業主が加入手続きをします)
- 雇用保険
【雇用保険の加入対象となる条件】
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上継続して雇用される見込みである
- 昼間部の学生ではない(休学中など一部例外あり)
上記の社会保険への加入が行われていないと、一般的に現場入場が認められていないので、注意しましょう。
建設業における労災保険
建設業の労災保険は、一般的な労災保険とは異なり、その建設工事の元請業者が加入する労災保険により、その元請業者の労働者はもちろん、下請業者の労働者の労働災害についても補償します。
それは、建設業においては、労災保険は、元請業者がその建設工事に従事するすべての労働者(下請業者の労働者も含む)の分を掛けるため、下請業者は原則として労災保険を掛けませんが、雇用保険は元請・下請それぞれが個別に掛けることになるため、労災保険と雇用保険の手続きを分けて行う必要があるためです。
ただし、現場作業員以外の労働者(事務、営業など)については、現場の労働保険の適用を受けないため、その分は一元適用事業として手続きを行う必要があります。
中小建設業事業主の特別加入制度 3つの特徴!
業界最安水準
年会費36,000円
- 2,000年設立以来の業界最安水準の年会費
- 更新手数料無料 年会費のみ
- 労働保険事務組合が運営
最短翌日から加入可能!
加入証明書即日発行
- 簡単に加入可能!
- WEB、FAX、郵送、来所対応!
- 社労士賠責加入済み
3人の社会保険労務士常駐!
社労士賠責保険加入済
- 労災事故の安心!
- 労災請求の事務手数料一切なし
- 社会保険労務士報酬無料
特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
- ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。