一人親方のメリット、デメリット。偽装「一人親方」問題とは!

建設業界では、多くの一人親方が活躍しています。

会社で経験を積んで、一人親方として独立を目指している方も多いと思います。

一人親方には会社員にはないさまざまなメリットがありますが、無視できないデメリットも潜んでいます。このメリットとデメリット、偽装「一人親方」問題を解説したいと思います。

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一人親方のメリットとデメリット

一人親方には会社員にはないさまざまなメリットがありますが、無視できないデメリットも潜んでいます。このメリットとデメリットを見比べ、独立するかどうかを考えなければいけません。

一人親方となることのメリット

一人親方とは、建設業などで労働者(従業員)を使わず、自分自身や家族とだけ事業を行なう事業主のことを言います。労働者を雇っている場合でも一定条件下にて一人親方としてみなされることもあります。

一般的にはこのような個人事業主のことを一人親方といいます。

 一人親方になると、雇用されている場合とは違い、仕事量の調整を自分ですることができますし、単価の交渉ができるなどのメリットもあります。

一人親方としての働き方のメリットについて、まもめてみました。

○ 職場にとらわれない自由な働き方が可能

一人親方は会社に雇用されている訳ではありません。誰かの指揮命令に従う必要もありません。

一人親方は事業主となりますので自ら営業を行い、元請会社を選んだり、建設工事をする場所や仕事量を調整できるメリットがあります。

繁忙期でも自分の裁量で自由に仕事量を調整できます。その点では、仕事とプライベートを両立させやすいメリットがあると言えます。

○ 仕事をやればやるほど稼ぐことが可能

事業主のため、仕事量を自分で決定できます。仕事をやればやるだけ稼げるのも一人親方の魅力の一つと言えます。

請負う工事現場、作業内容、仕事の進捗状況など工夫しながらスケジュールを管理調整することにより、1日で複数の工事現場を回ることも可能と言えます。

稼ごうと思えるのも一人親方の魅力です。

○ 自分の腕次第では高報酬も可能

会社に雇用されている場合、どれほど腕を上げてもいろいろな規制(労働法)があるため、月例給与の上限が決まってしまいます。

一人親方の場合、請け負う工事現場の請負金額を交渉できるため、高い技術力さへあれば高い報酬も狙えるメリットがあります。

一人親方のデメリット(技能者本人)

一人親方として独立開業するということは、会社に雇われていたときと比べて働き方が大きく変わります。

収入面などメリットが見込める一方、病気・怪我をした場合の保障や社会保険、年金 老後への不安などデメリットもあります。

一人親方として独立する場合は、デメリットについて十分に理解しておくことが大切です

  • ○ 引退後(老後)の生活が不安定
    一人親方には労働者(従業員)のような退職金制度はありません。高齢になり廃業したり場合や引退後の老後資金のことを最初から考えておくことが大切です。
    将来に備えて小規模企業共済やideco、NISAなど早いうちから積み立てておくことは大切です。
  • ○ 病気や仕事がなくなったときの保障がありません
    一人親方を辞めて働かなくなっても失業等給付は受けられません。
    一人親方の場合は、病気やケガで働けなくなった場合、労働者のような公的保障を受けられません。
    健康保険の傷病手当金や労災保険、障害厚生年金などの給付は対象外です。労働関係諸法令の適用対象外の為、有給休暇などもありません。
  • ○ 業務中の怪我や事故は全て自己負担
    労働者の仕事中のケガは労災保険による給付を受けることができます。病院で治療を受けた場合でも全額について労災保険から支払いが行われるので、労働者の負担はありません。ただし、労災の特別加入制度を利用している場合は掛金によって給付額が支払われます。

一人親方のデメリット(建設業界)

  • ○ 法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、偽装請負としての一人親方化を進めることにより、法定福利費等を適切に支払っていない企業ほど価格競争で優位となる  など、公正・健全な建設市場の阻害要因と言われています。
  • ○ 建設技能者の処遇悪化につながり、建設業の担い手確保・処遇改善の阻害要因となり得ます。

適正でないと考えられる一人親方(偽装一人親方)とは

適正でないと考えられる一人親方の例

① 労働者として扱うべきと考えられる一人親方の例

○ 法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、雇用関係にあった労働者を個人事業主として請負契約を形式的に結ぶ

○ 特定の建設会社に専属従事し、労働日や始業・終業時刻を指定され、仕事の進め方や作業方法等に対して具体的な指揮命令を受け、賃金は就業した時間に応じて支払われる状況にあるが、個人事業主として扱われているもの。

〇特定の建設会社に専属従事し、労働日数や賃金を管理され、仕事に対する指揮命令を受ける関係にあるが、雇用契約を締結していない

○ 表向きは社員と呼び、例えば会社のヘルメットやユニホーム、名刺等を支給しながらも、実態は、本人の希望等を理由として社会保険に加入せず、請負として扱う

○ 作業員名簿上は社員(雇用)としながらも、社会保険を適用除外扱いとして、雇用契約を締結していない

⇒労働者として扱うべきと考えられる一人親方については、適切に雇用契約を締結し、社会保険関係法令、労働関係法令や税法等の各種法令を遵守しなければなりません。

労働基準法上の「労働者」とは

・職業の種類は問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者を言います(労働基準法第9条)
・「使用される」とは、一般的には労働者が使用者の指揮命令を受けて労働し、かつ賃金を支払われている者です。

請負契約かどうか疑わしい例
  • ・業界の用語で「常用精算」等と呼ばれるものは、請負契約が名目上のものである場合がある
    ・常用は、一定の仕事を決められた時間で実施して代金を受け取る契約。1人の作業員が1日働く労働量を1人工(にんく)として  計算します。材料や運搬費などは発注元が負担することが一般的で、費やした労務費相当をもらえます。
    ・請負の場合、作業範囲や品質状況などを検査合格した記録をもって請負が成立したと考えます。しかし、現実的には作業範囲を明確にできないようなことが起こるのが現場の常です。
  • ・実務経験年数が10年程度以上なく、建設キャリアアップシステムのレベル3相当以上の技量が無い10代や20代の技能者が一人親方として扱われているもの

② 雇用契約等を締結せず自社の会社員として偽装する例

○ 請負契約を結び、社会保険にも加入していないが、例えば会社のヘルメットやユニホーム、名刺等を支給され、表向きは社員と呼ばれているもの。
○ 雇用契約を締結しておらず、社会保険も加入していないが、作業員名簿上は社員(雇用)とされているもの。

⇒上記の例の場合、実態が労働者であるか否かを確認した上で、実態にあった取扱いとしなければならないとされています。

一人親方とは、請け負った仕事に対し自らの責任で完成させることができる技術力と責任感をもち、現場作業に従事する個人事業主です。

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特別加入の申請手続

中小事業主一人親方
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)

お問い合わせ・お申込み

  • ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
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