一人親方とフリーランス保護新法?インボイス制度の関係は?
フリーランスに関わる法律としてフリーランス保護新法と呼ばれるものがあります。契約上不利になりがちなフリーランスを守るための法律で、フリーランスとしては特に理解しておきたいものです。
フリーランス保護新法とはどのような法律であるのか、基本的な知識について解説します。
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フリーランス保護新法とは?
フリーランス保護新法はフリーランスに対して不利な要求を強要しないように制定が検討されている法律です。ランサーズ株式会社の調査を参照すると、2021年度では約1,577万人のフリーランスが活躍しているといわれています。そのような時代においてフリーランスが働きやすい環境をつくるために、フリーランス保護新法の制定が議論されているのです。
組織に属さず個人で働くフリーランスを保護する新法が4月28日の参院本会議で可決、成立しました。優越的な地位にある発注者の一方的な報酬減額や発注取り消しなど不公正な取引の是正を図り、個人が組織を相手に安心して働ける環境を整えます。来年秋ごろまでに施行されます。
フリーランス保護新法と下請法の違いは?
下請法は「下請代金支払遅延等防止法」と呼ばれる法律で、親業者から下請け事業者に対して、不当な扱いが発生しないように制御するものです。業務委託においては、発注する側が優位になる傾向があるため、そのような状況を改善するために下請法が存在しています。
ただ、下請法はどのような業務委託契約でも適用されるのではなく、以下の条件を満たさなければなりません。
- 親事業者の資本金が1,000万円を超える
- 下請事業者の資本金が1,000万円以下
フリーランスの場合自身の資本金が1,000万円以下だと考えられますが、発注する側の資本金が1,000万円を超えているとは限りません。発注する側の資本金が1,000万円を超えていない場合は、下請法の対象外となってしまい、トラブルが起きてもフリーランスは守られない状況となっているのです。
それに対して、これから施行されるフリーランス保護新法は下請法のように同じ業者の資本金について定義されません。フリーランスに対して業務委託契約を結ぶならば、どのような親事業者でもフリーランス保護新法に定められたルールを守らなければならないのです。今まで下請法では守れなかったフリーランスも、フリーランス保護新法の施行に伴い守ってもらえるようになります。
フリーランス保護新法とインボイス制度の関係は?
フリーランス保護新法と関係性が深い法律にインボイス制度が挙げられます。意外と認識されていませんがこれらは関連しているものであるため、具体的にどのような観点から関連があるのか解説します。
インボイス制度の開始によるトラブル防止
フリーランス保護新法が導入された一つの要因として、2023年10月に開始されるインボイス制度が考えられます。インボイス制度によって、免税事業者に対する発注額の減額や発注の停止などのトラブルが発生すると考えられるため、そのような事情によりフリーランスへ影響が出ないように考えられているのです。
これらのトラブルについては、現時点でも下請法によって禁止されている部分があります。ただ、フリーランスは保護されない場合も多いため、今回、フリーランス保護新法によって保護されるように考えられている状況です。なお、フリーランス保護新法が施行されるとインボイス制度に関連して以下のような行為が禁止されます。
- 免税事業者に対して消費税相当額を支払わない
- 課税事業者になった場合でも発注側が一方的に値上げ交渉に応じない
- 取引の停止などを武器にして課税事業者になることを迫る
下請法が適用されるならば保護される場合はありますが、適用されない場合は不利益を被ってしまいます。そのため、フリーランス保護新法で改めて保護されるようになる見込みです。
価格交渉は可能
フリーランス保護新法では価格交渉自体が禁止されているわけではないため、双方が合意して契約書が作成されれば単価の修正はできます。継続的に仕事を獲得するためには、若干の値引きに応じなければならないこともあるでしょう。クライアントの予算に限界がある場合は、フリーランス側が減額しなければならないケースも考えられます。
繰り返しにはなりますがフリーランス保護新法で禁止されるのはクライアント側がこのような要望を一方的に突きつけることです。また、条件を飲まないならば契約を解除するなどの無理な交渉も認められません。双方が合意した上で単価を修正しなければならないのです。
フリーランスとしては単価を下げたくないものの、仕事を失ってしまうのも避けたいところでしょう。クライアントの一方的な要求は拒否できますが、交渉する姿勢を見せているならば柔軟に対応した方が良いかもしれません。
フリーランス保護新法の導入で、いつから何が変わる?
フリーランス保護新法が施行されることによって「結局、いつから何が変わるのか」と疑問を持つ人は多いでしょう。このような疑問を持つことは不思議ではなく、むしろ当たり前だと考えられます。
というのも、フリーランス保護新法は2023年中に成立する見込みです。
政府は2023年2月24日、組織に属さずフリーランスとして働く人の保護を強める新たな法律案を閣議決定しました。一方的な契約変更や買いたたきといった不公正な取引から守るため、発注する事業者に業務をメールであらかじめ示すことなどを義務付ける。禁止行為が明らかになれば、国が発注者に是正するよう勧告や命令を出せるようになることが予定されています。違反した場合には罰則を科します。
現在の下請法は、仕事の発注者が優越的な立場を利用して不利な取引を迫らないように取り締まる。発注者側が資本金1000万円超の企業であることが要件だ。資本金1000万円以下の小規模な事業者は取り締まり対象にならず、抜け穴になっていると問題視されていた。
フリーランスとの取引では口約束で仕事内容を決めることもある。途中で発注者からの一方的な変更でフリーランスが不利な立場に置かれるケースが少なくありません。
新法ではフリーランスとの業務契約について、報酬の金額や納期、仕事の範囲といった内容をメールや書面で示すように義務付けられます。
違反した場合は国が事業者に対し、立ち入り検査や勧告、公表、命令などができるようにする。命令違反や検査拒否には50万円以下の罰金を科す。
大企業の従業員などと比べて弱い立場になりがちなフリーランスの就業環境も整える。育児や介護と両立できるよう、事業者に配慮を求められます。
特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
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