一人親方の特別加入制度を詳しく解説します
労災保険の特別加入制度とは、労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度です。
特別加入できる方の範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。
労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用され賃金を受けている方を対象としています。そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、業務により負傷した場合などでも労災保険給付を受けることは出来ません。しかし、例えば中小事業の場合、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多いこと、また、建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事するため、これらの方の業務の実態は労働者と変わらないことから、労働者に準じて保護することを目的としています。
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一人親方とは
一人親方(ひとりおやかた)とは、建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことです。元々は職人をまとめて仕事ができる能力をもっているという職階をしめしていました。
一人親方労災保険とは
本来、労災保険は事業所の従業員など、“労働者”の業務災害や通勤災害に対して補償をおこなうことを目的とした制度です。 そのため、ご自身が事業主にあたる“一人親方”は保険加入の対象に含まれません。
しかしながら、建設業などの一人親方は業務の実態や災害発生状況が限りなく労働者に近いため、 国は労働者ではない一人親方に対しても特別に労災保険の加入を認めています。
その制度を『一人親方労災保険特別加入制度(一人親方労災保険)』といいます。
なお、一人親方労災保険は労働局より承認を得た『一人親方労災保険特別加入団体』を通じて加入する必要があります。
なお、一人親方、その他の自営業者が行う事業に従事する者、すなわち労働者以外の者で、その事業に従事している家族従事者も特別加入できます。
また、労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。
一人親方の特別加入の方法は?
特別加入の要件
一人親方等の団体(特別加入団体)の構成員であることが必要です。
(一人親方等の団体を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険の適用を行います。)
特別加入の申請手続
「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
この手続は、特別加入団体を通じて行うことになります。
一人親方労災保険の重要性
最高裁判所の判決により、現場において労働者的扱いを受ける一人親方であっても 「一人親方は元請の労災保険の対象とはならない」という事実が再確認されました。 それにより、現場に入る際に一人親方であれば「労災保険の加入の有無」が仕事の受注に大きく影響する可能性があります。
建設業界は雇用形態や業務区分が非常に流動的であり、昨日までは労働者だった方が今日からは一人親方になることもあり得ます。 その他、給与支払いを受けていた方が請負契約を余儀なくされることもあります。 事実として建設産業人口が減少傾向にあるにも関わらず一人親方労災保険加入者数については年々増加しています。 だからこそ、一人親方労災保険に加入して「自分の体は自分で守る」ことが重要になります。
一人親方労災保険の主な制度内容について
1 国が行う公的保険制度だから安心・確実
元請け会社や所属会社、協力会社の方に安心してもらうことができますので、仕事の受注につながります。
2 掛金は全額が社会保険料控除の対象
労災保険料部分はその全額が「社会保険料控除」の対象金額として、会費(事務委託手数料)は事業所得にかかる「必要経費」として確定申告の際に控除されます。 一人親方(事業主)の労災保険料支払いは経費にはなりませんので、帳簿上では福利厚生費ではなく事業主貸で処理することになります。
3 業務災害・通勤災害における治療費や入院費は自己負担ゼロ
業務中や通勤中に傷病を負った被災労働者が、自ら治療費や薬代、入院費等を負担する必要はありません。 ただし、労災指定ではない医療機関を受診した場合には、被災労働者は一旦100%の治療費や薬代を立て替えなければなりません。
4 傷病が治癒するまで給付が継続
労災保険は、基本的に原因となっている病気やケガが治癒するまで、あるいはあらかじめ決定された補償期間が満了するまで支給されます。 例えば、休業補償の場合は、原則として労災認定された病気やケガが治癒して再び仕事ができるようになるまでは、補償が給付されます。
5 休業補償は給付基礎日額の80%を補償(特別支給金を含む)
労災保険は、基本的に原因となっている病気やケガが治癒するまで、あるいはあらかじめ決定された補償期間が満了するまで支給されます。 例えば、休業補償の場合は、原則として労災認定された病気やケガが治癒して再び仕事ができるようになるまでは、補償が給付されます。休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給されます。 なお、所定労働時間の一部について労働した場合には、その日の給付基礎日額から実働に対して支払われる賃金の額を控除した額の80%(60%+20%)に当たる額が支給されます。
特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
- ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。