一人会社 と一人親方の違いとは?
社員がいなく、社長ひとりだけの会社を通称「一人会社」と言います。一人で仕事をするという意味では、一人親方(個人事業主)と何も変わらないと思うかもしれません。
しかし、会社という法人形態にすることで、一人親方(個人事業主)とは異なる点が多々あります。
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一人社長、一人親方(個人事業主)どれに当てはまりますか?
一人社長
株式会社などの一人でも設立ができる法人形態をとって会社の設立を行い、従業員を雇用せず一人で事業を営む社長の呼称、一人社長とは、会社設立を社長が単独で行い、その後も社員を雇うことなく社長が一人で全業務をこなす経営者のことです。
一人親方
建設業を営み、労働者を雇わずに文字通り一人(もしくは部分的に家族の手伝いなどを得て)で事業を運営している人に対しての呼称。建設業の 一人親方とは、労働者を雇用せず自分自身と家族だけで建設業を営む、個人事業主のことをさします。. 一人親方は、世間一般的な個人事業主の概念とは異なり、建設業界独特の概念です。
一人会社と一人親方の特徴
一人社長と一人親方のそれぞれの特徴を整理してみました。
一人社長 | 一人親方(個人事業主) | |
税率 | 一定 | 累進課税 |
赤字の繰り越し | 7年 | 3年 |
社会保険 | 義務 | 義務なし |
所得 | 一定 | 不安定 |
借入の保証 | 代表者の保証 | 別途必要 |
納税義務 | あり | なし |
開業設立費用 | かかる | なし |
信用 | 高い | 低い |
また、事業の内容によっては一人親方(個人事業主)では許認可がおりないものもあります。今後の事業展開を含め事前にしっかりとした調査することが大切になります。
一人会社とは
一人会社とは、社長がひとりで経営している会社のことを言います。社の中には社長しかおらず、社員や他の取締役はいません。それでも、法人として成立しており、れっきとした会社組織です。
一人会社とは、会社設立を社長が単独で行い、その後も社員を雇うことなく社長が一人で全業務をこなす経営者のことです。
具体的にはシステムエンジニアやマーケター、ライターなど社長が個人で業務を請け負って納品までの全業務を自分だけで行うような場合です。IT化の進展とともに個人としてこれらの業務を請け負う人は増加しており、法人設立へのニーズも高まりつつあります。
会社ときくとたくさんの従業員が働いているのが一般的なイメージです。 ところが、法律上は社長一人だけの会社も認められています。このような法人は一人会社と呼ばれ、会社の持分や株式が一人の手に所有される会社を意味します。
一人会社は2006年の新会社法成立後に増え始めました。それまでは株式会社を設立するためには、取締役は3人以上など人数の条件がありました。新しい会社法になってからは、役員の設定が自由となり、一人会社の設立も可能となったのです。
一人会社のメリット
社長の責任が限定的になる
個人事業主は事業から生じた債務を全て負担しなければなりません。法律上は無限責任を負うとされます。自分の財産をすべて売り払ってでも全ての債務を返済しなければならないのです。
これに対して一人会社では、会社と個人は法律上別人格として扱われます。 会社がどれだけ借金を負ったとしても個人が返済義務を負うことはないのです。責任を負う範囲は会社の出資金の範囲に限定されます。
会社設立時に資本金を定めるのですが、この資本金の金額が責任の範囲です。法律上これを有限責任と言います。
節税方法が増える
個人事業主に比べて法人は様々な節税方法を使えます。損失繰越も最大9年まで可能です。個人事業主の場合、最大3年であるのと大きな違いです。また法人であれば出張旅費や社宅、退職金を活用した節税対策も行うことができます。
一般的に年間売り上げが1,000万円を超えると非常に高い節税効果を享受できます。 事業規模の拡大に伴って節税効果も高まるのです。
自由な働き方が可能
社長として勤務する以上、全て自分の裁量で決めることができます。 どこで、どのような仕事を、誰とするのか、自分で自由に決められます。サラリーマンがあらゆることを会社によって決められてしまうのと対照的です。
もっとも、自由だからこそ自己管理が求められます。主体的に計画をたてて業務をこなす力がなければ一人社長として経営を行うのは難しいかもしれません。
一人社長のデメリット
設立費用がかかる
会社設立には一定の費用がかかります。専門知識が必要となるので司法書士に依頼するのが一般的でしょう。その場合は通常の設立登記の費用に加えて司法書士への報酬も必要です。
具体的には株式会社であれば約25~30万円、合同会社なら約10~15万円となります。
確定申告の難易度が高く税理士の依頼が必須
個人事業主であれば確定申告を個人が行うことも勉強を積めば可能でしょう。複式簿記の知識が必要になるものの、簿記2級レベルの知識があれば対応できます。
一方、法人の確定申告となると話は別です。税務署への提出書類も格段に増えますし、記帳も大量かつ複雑です。税理士に依頼せずに個人が行うのは無理があります。
毎月の取引の記帳は自分で行うとしても、税務申告の段階では税理士への依頼は必須となるでしょう。
社会保険料の負担が大きい
一人社長であっても会社形態をとっている場合は健康保険や厚生年金への加入義務が生じます。社会保険への加入を怠ると遡って保険料を納めるなどペナルティを受けてしまいます。
健康保険は協会けんぽに加入するのが一般的です。 協会けんぽであれば一見、個人負担が少ないとも思えます。 しかし、一人社長の場合個人負担分に加えて会社負担分も 負担しなければなりません。結果的に国民健康保険よりも保険料が高くなってしまうのです。
年金は厚生年金に加入します。国民年金の保険料は約16000円ですが、厚生年金の場合は月収によって保険料も変わってきます。ただし年金保険料が高くなる分、将来受け取れる年金も上乗せされます。このため厚生年金への加入は必ずしも負担増になるとは言えません。
営業や事務のリソース不足に陥りやすい
一人社長として経営を行っていると、事業規模が小さいうちは個人事業の延長として運営がなされているかもしれません。しかし、事業規模が大きくなるにつれて事務処理の限界もみえてきます。特に営業や事務は膨大な作業量を必要とする業務なのでリソース不足に陥りやすいです。
この時、必要なのが社長自身が行うべき業務と社長以外でも行うことができる業務とを切り分けることです。例えば営業や事務はマニュアルを作ることによって一般の従業員に任せることもできるでしょう。
一方、 経営判断のような重大事項の決定は社長が行うしかありません。そうだとすれば営業や事務は従業員に任せることや外注することで思い切った効率化のできる業務といえます。
中小建設業事業主の特別加入制度 3つの特徴!
業界最安水準
年会費36,000円
- 2000年以来の年会費業界最安水準
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社労士賠償責任保険加入済
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一人親方とは
一人親方(ひとりおやかた)とは、建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことです。元々は職人をまとめて仕事ができる能力をもっているという職階をしめします。
建設にかかわる分野の労働形態でみられる、一人親方。一口に一人親方といっても、実際にどのような働き方をしているかによって、社会保険の加入形態が異なってきます。また、手続きに不備があると、場合によっては建設現場入場制限の対象となり、現場での作業が進められなくなることもあるので注意が必要です。
労災保険の特別加入制度における一人親方等
建設業を営む個人・法人の経営者とその同居の家族
建設業を営む個人・法人の経営者とその同居の家族
- 建設工事の請負を営む経営者。兼業でもOK。
- 法人の役員・個人事業主とその同居の家族従事者のみが労災の特別加入ができます。
- 法人の役員が複数で、労働者なしの場合は、それぞれが一人親方として労災の特別加入ができる。
従業員を常時使用しない。
- 従業員とは、建設現場に従事する現場監督・現場作業員等の労働者をいう。同居の家族は除く。
- 従業員を使用した場合は、年間延べ100日未満の使用であればOK。
一人親方のメリット
単価交渉で収入の幅が広がります
会社に雇われている立場では、ある程度給料の相場が決まっています。
一人親方になると、取引を直接行うので仕事の単価を自分で交渉できます。
雇用されている場合は基本給があり、収入の幅が固定されていることが多いでしょう。
一人親方の場合、交渉次第で収入の大幅アップも可能です。
資格や免許を取得したり、高度な技術を身に着けたりすれば通常の給料に能力給がプラスされることもありますが、基本的に役職が上がるまで年収は頭打ちとなる傾向にあります。
しかし一人親方の場合は、雇われている立場とは違い、請け負う仕事の単価を交渉できます。また相場自体も日当18,000円~23,000円と、一人親方の方が1日あたり最大7000円程度高いとされています。
実際の手取りは社会保険料などを差し引いた額になりますが、それでも雇われている立場より平均日当は高くなるケースが多いです。
社内の人間関係から解放されます
一人親方は基本的に人を雇用しないため、社内の人間関係に悩むことがありません。
特に現在の雇用先で上司からのパワハラに悩んだり、気の合わない同僚にと仕事をしている方にとっては、人間関係のストレスを解消できることは大きなメリットでしょう。
自分で受けたい案件を選ぶことができる
雇用されているときは案件の決定権がないことがほとんどです。
一人親方になると自分で案件を選ぶことができるので、受けたくない案件は受けないという選択も可能です。
自分のペースで働ける
一人親方の場合は自分の裁量で仕事量を調整できます。
会社で雇われていたときと違い、仕事量が多すぎてキャパオーバーになったり、納期に間に合わなくて取引先に頭を下げることもありません。
様々な固定費を削減できます
一人親方は、人を雇用しないため人件費がかかりません。
大規模なオフィスを構える必要もないので賃料も削減できます。
一人親方のデメリット
病気や怪我をすると収入が途絶えてしまうリスクがあります
個人事業主には有給休暇や休業補償といった制度はありません。病気や怪我で働けないと収入が減ってしまいます。
怪我のリスクが高い仕事であるため、安全や体調管理には充分に注意する必要があります。
社会的信用が低く、大企業と直接取引することが難しいと言われています
一人親方は、企業の後ろ盾がある会社員と比べると社会的信用が低くなってしまいます。
基本的に大企業はある程度の事業規模のある会社に依頼する場合が多いと言われています。大きい仕事を直接請け負うのは困難と思った方が良いでしょう。
自分で確定申告を行う必要があります
会社員と異なり、自分で確定申告をして所得税や個人事業税を納める必要があります。
現在は会計ソフトの導入で昔に比べ簡単に確定申告書が作成できますが、節税のためには領収書管理なども行なう必要があるので、手間がかかると言えます。
雇用保険の対象ではありません。社会保険に制限があります
一人親方は、雇用保険の対象外であるため失業手当を受け取れません。廃業したに失業給付はもらえません。廃業リスクが高いと言えます。
また、会社を退職すると健康保険や厚生年金から国民健康保険、国民年金に変更しますが、後者は保険料が高く、国民年金の受給金額は厚生年金より低いこともデメリットです。
個人事業主として手軽に事業をスタートし、ある程度の事業の収益化と費用などの準備が吐かれたタイミングで法人を設立することを「法人成り」と呼ばれています。
法人成りのタイミング
事業所得(利益)が700万円を超えたときが検討のタイミング?
個人事業主としてビジネスを継続している限り、事業所得(利益)は全て個人所得となり、個人としての所得税が課されます。その税率は、5%から45%まで7段階に分かれています。さらに住民税(10%)の課税もあるため、税率は最大で55%になります。
そして、法人税の最高税率は所得税の最高税率よりも低いため、所得の金額次第では、法人税率よりも高い税率が課される場合があります。
実際、資本金1億円以下の中小企業を営んでいると仮定した場合の法人税率は所得が800万円以下であれば15%、800万円を超える部分の法人税率は23.2%です。つまり、個人事業主として高い税金を払い続けるよりは、法人化したほうが節税メリットを受けられる可能性があるのです。
一般的には、個人事業の利益が800万円を超えたあたりで法人化するとよいといわれています。ただし、所得控除や事業以外の所得の有無、法人化した際の報酬額などによって条件は大きく変わる可能性があります。概ね事業所得700万円を超えたら一度専門の税理士にご相談することをおすすめします。
法人化するのにも費用がかかりますので、すぐに法人化する必要はありませんが。
「偽装一人親方」問題というリスク
建設業の処遇・労働環境改善を図るために、国を挙げて社会保険加入対策が進められています。
建設業の保険加入率に上昇が見られる一方で、法定福利費や労働関係諸経費の削減を意図して技術者を独立させる一人親方化や、雇用関係の実体があるにもかかわらず偽装請負といったケースの増加も懸念されています。
一人親方問題は、技術者の処遇悪化につながるだけでなく、企業にとっても重大なリスクが潜んでいます。
偽装請負は違法就労として罰則を受ける可能性があるほか、建設業許可のない一人親方との契約は建設業法違反となる場合があります。
そして、労災保険の加入推進も必要です。万が一労災事故が起きた際、元請け側に責任がおよび損害賠償を請求されることもあるため、適切な保険加入は不可欠といえます。
これらの状況を踏まえ、国土交通省は一人親方対策に対する検討会を設置し、建設業のさらなる処遇改善を進めています。
企業は政府による施策や規制について正しく把握するとともに、今後は一人親方の使用方法についても見直しが求められる可能性が高いと思われます。
特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
- ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。