知らないと損をする!元請が下請業者の社会保険等加入状況を確認する方法

元請業者は請け負った建設工事におけるすべての下請業者に対して、建設業法では、

「建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものです。 (建設業法第1条)つまり、

  • 「適正な契約の締結」
  • 「適正な施工体制の確立」
  • 「雇用・労働条件の改善」
  • 「福祉の充実等について指導・助言」等々

の援助を行うこととされています。社会保険等の加入に関しても、下請業者に対する指導等の取組を講じる必要があると言えます。

しかしながら、社会保険等の加入に関して、「下請業者が社会保険に加入しているか、確認する方法がある」でしょうか?

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社会保険等の加入の確認方法

社会保険等の加入の確認方法としては、次の方法が考えられまます。

  • 【1】建設キャリアアップシステム
  • 【2】再下請負通知書
  • 【3】作業員名簿
  • 【4】その他

【1】建設キャリアアップシステム

「建設キャリアアップシステム」は、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。

システムの活用により技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、将来にわたって建設業の担い手を確保することを目的としています。

建設キャリアアップシステムへの事業者登録申請時には、社会保険等に加入していることを証明する資料が必要になります。

つまり、建設キャリアアップシステムに登録されている下請業者を選べば、自動的に社会保険等に適正に加入している下請業者を選んでいることになります。

【2】再下請負通知書

建設工事を始める前に揃えなければならないグリーンファイルの一つに、施工体制台帳という書類があります。

この書類は、元請会社が工事を下請会社に出す場合の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上になる場合に作成しなければならないのですが、その台帳に含まれる書類の一つとしてあるのが「再下請負通知書」です。

施工体制台帳の作成が義務付けられる建設工事において、再下請負がなされる場合には、発注者から直接建設工事を請け負った元請業者に対して下請業者から再下請負通知書が提出されることになります。

この再下請負通知書には、「健康保険等の加入状況」を記載する欄があります。

健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の加入状況に関する事項を記載することとされていることから、元請業者においては、再下請負通知書で確認することにより下請業者の社会保険の加入を確認することができます。

【3】作業員名簿

令和元年度の建設業法等の一部改正により、実質的に作業員名簿の作成が義務化されました。

各作業員の加入している健康保険、年金保険及び雇用保険の加入状況に関する事項を記載することになりました。

この作業員名簿により、建設現場で働く労働者について、保険の加入状況を把握することができます。

【4】その他

その他としては、下請業者に対して、建設キャリアアップシステムを使用せず、

において適用状況を確認するという方法があります。

加入していないことが判明した場合の対応

健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、適用除外でないにもかかわらず未加入の建設業者に対して、「下請会社として選定しない」との取扱いが考えられます。

  • 1)下請契約に先立って、選定の候補となる建設企業について社会保険の加入状況を確認すること。
  • 2)未加入の場合には、早期に加入手続を進めるよう指導を行う必要があります。
  • 3)作業員に関して適切な保険に加入していることが確認できない場合は、現場入場を認めない
  • 4)作業員名簿を作成した下請業者に対して、作業員を適切な保険に加入させるよう引き続き指導する必要があると考えます。

元請業者は社会保険等の加入だけでなく、建設業法をはじめとする各種法令違反がないように、下請会社を指導する義務があるとされます。法令等を頭に入れておくことが大切です。

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