一人親方必見!労災保険未加入のリスクを考えたことありますか?
建設業や建築業に関連するお仕事をされている方の中には、会社に勤めて雇用されて働くのではなく、自分自身の力と技術と経験で仕事をされる「一人親方」が増えてきています。
一方で危険度の高い建設業ですが、一人親方が一人親方労災保険に未加入だった場合、事故に遭っても補償を受けられません。
労働災害(労災事故)はいつ発生するか分かりません。
一人親方が安心して働くために労災保険へ加入することは大切です。
一人親方にとっての労災保険の重要性と、労災保険への特別加入の方法について解説します。
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一人親方労災保険への未加入のリスクとは!
ここでは、一人親方労災保険へ未加入だった場合のリスクを考えたいと思います。
事故の可能性が高い現場を請け負うことができない
建設現場の元請会社は、一人親方の労災事故に対して補償する義務や責任はありません。
最近では、労災事故に被災したことにより、元請けが安全配慮義務違反で損害賠償請求されないようにするため、労災保険未加入の一人親方は、現場へ入場させないようにしている元請会社が一般的になってきました。
労働安全衛生規則等の改正で、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、新たに一定の措置を実施することが事業者に義務付けられます。
作業を請け負わせる一人親方等に対する措置の義務化
作業の一部を請け負わせる場合は、請負人(一人親方、下請業者)に対しても、以下の措置の実施が義務付けられます。
- 請負人だけが作業を行うときも、事業者が設置した局所排気装置等の設備を稼働させる(または請負人に設備の使用を許可する)等の配慮を行うこと
- 特定の作業方法で行うことが義務付けられている作業については、請負人に対してもその作業方法を周知すること
- 労働者に保護具を使用させる義務がある作業については、請負人に対しても保護具を使用する必要がある旨を周知すること
同じ作業場所にいる労働者以外の人に対する措置の義務化
同じ作業場所にいる労働者以外の人(一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など、契約関係は問わない)に対しても、以下の措置の実施が義務付けられます。
- 労働者に保護具を使用させる義務がある作業場所については、その場所にいる労働者以外の人に対しても保護具を使用する必要がある旨を周知すること
- 労働者を立入禁止や喫煙・飲食禁止にする場所について、その場所にいる労働者以外の人も立入禁止や喫煙・飲食禁止とすること
- 作業に関する事故等が発生し労働者を退避させる必要があるときは、同じ作業場所にいる労働者以外の人も退避させること
- 化学物質の有害性等を労働者が見やすいように掲示する義務がある作業場所について、その場所にいる労働者以外の人も見やすい箇所に掲示すること
一人親方が労災事故に遭ったとしても補償はありません
建設業は、労働災害の発生率、危険度が他産業より高い業種です。一人親方が労災保険へ未加入だった場合、労働者であれば労災保険によって補償を受けることができません。
療養補償給付や休業補償給付、障害補償給付や遺族補償給付など労災保険の保険給付が受けられません。
万が一、労災保険に未加入のまま、労災事故に遭った場合、金銭的にも精神的にも大きな負担になります。
一人親方が被災しても元請会社の労災保険が使えない
労災保険は、労働者を雇用する事業者であれば、必ず加入しなければならないと法律で義務付けられています。
しかし、一人親方の場合は個人事業主であるため、元請会社と雇用契約のある労働者ではありません。
労災事故が発生しても、元請会社の労災保険は、一人親方に適用されません。
労災事故が原因の病気や怪我では建設国保や健康保険が使えません
健康保険は、業務外での病気や怪我(私傷病)を対象としており、業務中に発生した病気や怪我(労災事故)に使用することはできません。
労災保険へ未加入だった場合には、治療費や入院費等を全額自己負担で賄わなければなりません。
業務中に発生した労災であるにもかかわらず、建設国保や健康保険を使用してしまった場合は、治療費を自己負担に切り替える必要があります。
一人親方が労災保険に加入しない理由
一人親方が労災保険へ未加入であるリスクは大きいにもかかわらず、労災保険未加入の一人親方がいます。
なぜ一人親方が労災保険に加入しないのでしょうか?
傷害保険に加入しているから大丈夫という安心感
労災保険よりも掛け金が高く、補償内容が不十分になる可能性が高いのが民間の傷害保険です。
一人親方の労災保険への加入は義務ではありませんし、民間の障害保険への加入でも問題はありませんが、補償内容が民間の傷害保険とは違います。
労災保険は国が運営する公的保険であり、民間の保険会社が販売する任意保険とは異なります。
民間保険は、労災保険に加入した一人親方が、さらに補償を手厚くするための上乗せ分として利用する方法を検討してはいかがでしょうか。
「労災事故に遭わない」「大丈夫だ」という自信や思い込み、先入観
建設業は、高所作業など労災事故に遭う可能性が高い業種です。建設業の労働災害の現状として一番多いのは墜落・転落災害で約40%、次に重機(建設重機、クレーン等)災害で14%、次に倒壊・崩壊災害で11%と、これらで3分の2を占めています。建設業は労災事故に遭う可能性が高いと言われています。
厚労省の統計によると、建設業の死亡者数は、令和2年以降増加傾向にあるとされています。自分は大丈夫だろうという自信や思い込みを捨て、一人親方労災保険などへの加入など、あらかじめ備えておくことは大切です。
労災保険にかかる保険料が高いという先入観
雇用関係のある労働者は、労災保険料はすべて事業主が負担します。
労災保険は国が運営する公的保険制度です。
一人親方の場合は事業主であるため、労災保険料は自己負担です。
金銭的な負担から、加入を迷う一人親方もいると思いますが、
労災保険制度は、万が一の際の補償について手厚い制度設計されており、安価で加入できます。
労災保険に未加入である場合は
作業現場に入れない場合があることなど、労災保険料と労災保険未加入リスクから検討することが大切です。
労災保険に関する重要性が認識されていない
労災保険は、一人親方の生活を守る重要な保険です。
一人親方の皆さんは、その重要性が正しく理解することが大切です。
- 自分は労災事故に遭わないだろうという思い込み
- 健康保険や建設国保に加入しているため病気や怪我をしても大丈夫だという思い込み
- 保険料が高い、手続きが煩雑だという思い込み
- 労災保険を使うと損をするという思い込み
- 労災保険を使うと元受けに迷惑をかけるという思い込み
以上の5つの思い込みを抱いている方が多いのが現状です。
一人親方労災保険の重要性を正しく認識しないまま、一人親方労災保険へ加入していない場合は、大きく損をしている可能性もあるのです。
一人親方労災保険に加入することは、本人だけでなく、家族の生活を守ることにつながるということを忘れないでください。
一人親方が労災保険に加入する方法
一人親方が労災保険に加入するためには、労災保険特別加入団体を通じて加入する必要があります。以下に流れをまとめています。
一人親方の特別加入団体を選ぶ
特別加入団体とは、都道府県の労働局長の承認を得た団体であり、労災保険加入手続きは特別加入団体を通じて行います。
特別加入団体を選ぶ際には、
- 年会費が安いこと
- 専門の社会保険労務士が常駐していること
- 丁寧な手続きを行ってくれること
- 対応が早いこと
などを中心に選ぶことが大切です。
また特別加入団体によって会費やその他の手数料等は異なるため、どのような費用が発生するかは各団体へ確認することが大切です。
給付基礎日額を決める
給付基礎日額を3,500~25,000円の16段階から選択します。
給付基礎日額とは、労災保険の給付額を算定する基礎となる額です。
例えば病気や怪我などにより、一時的に働けなくなった場合は、休業(補償)給付として、4日目から1日あたり給付基礎日額の80%の金額が給付されます。
給付基礎日額が多いほど、補償も手厚くなりますが、労災保険料も高くなります。
給付基礎日額は自身の所得水準に見合った金額で選択しましょう。
一人親方は、国の行う「労災保険」に加入しましょう!
建設業の仕事はケガをする確率が高い業種です。万が一に備えて必ず労災保険に加入しましょう。
病院での治療費の給付や、休業補償などがある労災保険は国が運営しているので安心です。
労災保険は、労働者の負傷・障害・死亡に対して保険給付を行う制度ですが、労働者と共に労働に従事している中小事業主や一人親方の方に対し、特別に労災加入 できる制度です。
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特別加入の申請手続
中小事業主↗
労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。
一人親方 ↗
特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)
お問い合わせ・お申込み
- ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
- ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
- ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
- ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。