一人親方、中小事業主必見! 労災保険給付に自己負担はあるのか? 

一人親方、中小事業主仕事中や通勤中に怪我をしたり病気になったりした場合には、労働者と同じように労働基準監督署長の労災認定を受けることで労災保険からの補償を受けることが可能です。

「万が一、業務中や通勤中にケガを負った時、その医療費はどれくらい補償されるのだろうか」「自己負担はあるのだろうか」と不安に思ったことはありませんか。
労災によるケガや病気の医療費は、基本的に労災保険から補償されます

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労災事故によるケガや病気の場合、自己負担とは?

労災によってケガや病気を負った場合、その療養に必要な費用に関して、自己負担はありません。
労災保険には「療養(補償)給付」という給付金があり、労災によるケガや病気の療養費は、全額この給付金で賄われます。

療養(補償)給付とは

●「療養の給付」は、労災病院や労災保険指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関等」といいます)で、無料で治療や薬剤の支給などを受けられます(これを現物給付といいます)。

●「療養の費用の支給」は、近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用を支給する現金給付です。

給付の対象となる療養の範囲や期間はどちらも同じです。

療養(補償)等給付は、治療費、入院料、移送費など通常療養のために必要なものが含まれ、傷病が治ゆ(症状固定)するまで行われます。

※「治ゆ」とは

療養(補償)等給付は、傷病が治ゆするまで行われますが、労災保険における「治ゆ」とは、身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(「症状固定」の状態)をいいます。したがって、「傷病の症状が、投薬・理学療法等の治療により一時的な回復がみられるにすぎない場合」など症状が残存している場合であっても、医療効果が期待できないと判断される場合には、労災保険では「治ゆ」(症状固定)として、療養(補償)等給付を支給しないこととなっています。

療養(補償)給付で賄われる費用

療養(補償)給付では、労災によるケガや病気の療養に必要な下記のような費用が補償対象となります。

◆療養(補償)給付の補償対象になる費用例

支給される内容は、主に以下の通りです。

  • 治療費(診察費等)
  • 柔道整復師やはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の施術費
  • 薬代
  • 手術費用
  • 自宅療養や入院中の場合にかかる看護費
  • 入院や通院のための交通費

※特別な理由がある場合・移送費・通院にかかる交通費・その他雑費 など

基本的に、労災のケガや病気において、通常の療養に必要なものは全て労災保険から支払われると考えてください。

自己負担の可能性のある費用

前述の通り、労災によるケガや病気の療養に必要な費用は、基本的に全て労災保険の療養(補償)給付から給付されます。
しかし、一部費用については、自己負担になることもあります。
自己負担になる可能性のある費用を確認しておきましょう。

◆療養(補償)給付の補償対象にならず自己負担になる可能性のある費用とは!

・一般的に治療効果の認められていない特殊治療にかかる費用
・必要がないと認められる付添看護婦を雇った場合の費用
・差額ベッド代(個室料)など

差額ベッド代は補償対象か

自己負担の可能性のある費用についてひとつ注目しておきたいのが、差額ベッド代(個室料)です。
差額ベッド代については、特別な場合のみ療養(補償)給付からの支払いが認められています。この特別な場合とは、療養環境の基準を満たした病室に入院する上で、一定の要件を満たす場合を指します。

厚生労働省労働基準局補償課 労災診療費算定マニュアル

通常必要がないと判断される費用については、療養(補償)給付から支払われず、自己負担になります。

労災が認められなかった場合は?

ケガや病気が労災だと認められなかった場合には、療養の費用負担はどうなるのでしょうか。

ケガや病気が労災だと認められなかった場合、労災保険からの補償は受けられません。そのため、療養(補償)給付によって療養の費用を賄うことはできず、全て本人が自己負担で支払うことになります。
よって、後日医療機関から、それまでにかかった療養費の全額が請求されることになるでしょう。

その場合は、健康保険を使える可能性が高いため、ケガや病気を負った本人の実質負担は3割になると予想されます。

健康保険で対応する

労災が認められなかったということは「業務外」の事由と判断された証明であり、健康保険の対応が可能です。健康保険対応の場合は、労働者の医療費は3割負担であり、休業期間中には傷病手当が受け取れます。

労災保健対応であれば従業員の自己負担はゼロなのに対し、健康保険対応の場合は一部自己負担が発生しますが、迅速に確実な補償を受けることが可能です。
労災と認定されず、後日療養費を請求されたら、まずは加入している健康保険に相談してみてください。

労災指定病院以外を受診した場合、どうすればいいか

労災指定医療機関以外を受診した場合には、いったんは、被災された者が治療費を窓口で支払い、後日、労働基準監督署に申請することによって、立て替えて支払った治療費が支給されます。窓口で支払わなければならない治療費は、労災保険を適用することを前提とするものとはいえ、全額負担となります。そのため、高額な治療費を負担しなければならないという点に注意が必要です。

労災指定医療機関以外で治療を受ける場合には、以下の書類を病院および事業主に提出して証明を受けた後、労働基準監督署に提出します。

・「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」(業務災害の場合)

・「療養給付たる療養の費用請求書(様式16号の5)」(通勤災害の場合)

なお、費用請求にあたっては、病院の領収書は、大切に保管しておきましょう。

健康保険から労災保険への切り替え方法について

労災指定病院以外の医療機関におけるケガや病気の治療費支払いに関して、「労災かどうかわからなかったから健康保険を使って料金を支払った」「あやまって健康保険を出してしまった」という方もいると思います。
労災によるケガや病気は労災保険によって全額補償されます。健康保険は使えません。労災によるケガや病気に健康保険を使ってしまった場合には、労災保険への切り替え手続きを行うようにしましょう。

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特別加入の申請手続

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労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。

一人親方 ↗

特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)

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