一人親方の通院加療における休業補償について

特別加入者の通院加療における休業補償給付について(労災保険法第37条関係)

(昭和44年3月31日)
(43基収5514号)

(問)
  みだしの件に関する具体的な取扱いについては、昭和40年11月1日付基発第1454号通達により示されているが、次の如き事案の取扱いについて疑義があるので、御教示を下されたくお伺いいたします。

  • 1 被災特別加入者 Y
  • 2 所属団体 Y県建設労災保険組合(一人親方)
  • 3 休業補償給付 別添のとおり所轄署へ請求写
  • 4 調査概況
    (1) 給付事由に基づく諸条件は休業補償給付請求書に記載のとおり。
    (2) 診療の状況についても別添のとおり療養期間80日に対し実診療日数(通院加療)は27日である。
    (3) 診療担当医は被災者が労働出来なかった期間は、負傷当日昭和43年6月15日より、治療日昭和43年9月2日迄として認め証明している。
    (4) 入院治療迄は要しなかったが、負傷前の作業に従事することが出来なかった期間及び通院後、通院加療した日において大工の仕事に附帯した業務が出来た期間が夫々ある。
  • 5 問題点として伺いたい事案と所見
    (1) 本件は通院加療の事案であるため、昭和42年3月、本省主催全国労災課長会議における資料、質疑応答集によれば、入院及び就床療養以外は全部労働不能の範囲外であるので、給付の対象より除外されるものと解するが、いかが取扱ってよいか。
    (2) 通院加療の場合、傷病の程度によって給付の対象として考慮する場合、全部労働不能のための事実確認はきわめて困難ではあるが、調査の結果により下記によって取扱ってよいか(昭和40年11月本省会議資料、質疑応答)。
    (イ) 請求人が通院加療した日以外で、大工に附帯した仕事(例えば以前から本工事を頼まれていたところへ仕事の見積り、設計等の話合いに行っているとか、現在手掛けている工事或いは、近く取掛る工事に必要な建材の発注、その他工事代金の取立て、或いは支払い等)をやっている日は(労災上労働することが出来ないとは、一般的な労働不能を意味するものであって、請求人が負傷し又は疾病にかかる直前に従事していた本来の労働をすることができない場合だけ意味するものではないから)全部労働不能でない。
    従って、その日については給付の対象とならない。
    (ロ) 請求人が通院加療した日でも、通院加療後(イ)同様の仕事を行っている事実が明らかな日についても給付することは出来ない。
    (ハ) その他前記(イ)、(ロ)以外の場合、例えば仕事が単に閑散なため、診療担当者らが療養のため当該事業又は当該作業(附帯業務を含む。)について、全部労働不能とは認められない日について、所謂単に仕事をしていないからというのみで、給付することはできない。

(答)
(1)について 通院療養は通常全部労働不能とは認められないが、客観的に全部労働不能であることが明確であればこの限りでない。したがって、本件は、7月31日まで全部労働不能として休業補償給付が支給されるべきである。
(2)(イ)および(ロ)について
通院した日も含み、例示の如き請負契約の目的たる仕事完成のため行なう業務を行なえる状態であれば、全部労働不能とは認められない。
(ハ)について貴見のとおりである。