一人親方の適正な処遇と働き方を確認しておきましょう!

建設工事現場で働く一人親方の実態は漠然としていて実態を解明することは困難です。なぜなら、一人親方には法的な資格のような一定基準とか定義は存在しませんしそれぞれの立場や働き方が多岐に渡るためです。

本来一人親方と呼ばれる方々は請負人として扱われるはずですが、実際は請負人とも労働者ともつかない働き方をしている人が少なくありません。現場管理上の問題も発生するため、ここでは一人親方と呼ばれるための条件をしっかり理解していただくために解説していきたいと思います。

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一人親方とは

一人親方は所謂『職人』と言い換えれますが、その職人には下記の通り4つの職階級があります。

「職人は、見習工、職人、一人親方、親方の四つの職階から成り立っています。

①見習工(従弟)

②職人(技能者)

③一人親方(独立自営業者)

④親方(経営者)

見習いとして職人への道へ足を踏み入れたのち、技術を習得し職人となる。その職人が独立し、職人を雇入れ、企業としての体裁を構えている段階(法人成りしている)が親方で、単に技術に習熟しているだけでなく、会社を経営し、工事を差配するといったマネジメント業務をこなすことが求められる。

見習期間が終れば、一人前の職人です。そのまま親方に雇われている人もいれば、他の工務店・事業所に移る人もいます。さらに 2~ 3 年ウデをみがいて一人親方へ。一人親方の一部の人達は親方(事業主)になっていきます。

一人親方の働き方

元請け会社やゼネコンなどに自ら営業をかけて仕事を受注し収入を得る方法ではなく、仲間の紹介や独立前からの特定企業との信頼関係から仕事を請け負うことが多いと言われています。

信頼関係から仕事が受注できることは素晴らしいことです。しかしながら、契約関係が曖昧だったり、契約自体が存在しないケースもあると言われています。

後々大きな問題につながる場合もあります。

さらに、工期も元請けが決定するため過重労働を余儀なくされたり、請負契約に関わらず単価契約や出来高払制などが安価になり、

最悪のケースだと仕事も生活も安定せず、当然「最低賃金」ももらえないため仕事が途切れた場合は「生活保護」に頼らざるを得ないということにもなりかねません。

一人親方の定義

一人親方という言葉に定義というものはないのでしょうか?

労災保険法は、特別加入を認める一人親方の条件について、厚生労働省令で定める種類の事業を(厚生労働省令で定める種類の事業を)『労働者を使用しないで行うことを常態とする者』と定義しています(第33条第3号)。

さらに、建設の事業に該当するものとして、「土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業」を掲げています(施行規則第46条の17第2号)。

建設業における一人親方の業務災害及び通勤災害の認定基準

(イ) 請負契約に直接必要な行為を行う場合
  • (注) 請負契約締結行為、契約前の見積り、下見等の行為を行う場合。なお、自宅から直接下見現場等に赴く場合は、自宅から下見現場までの間については、通勤とみなされ業務 遂行性はない
(ロ) 請負工事現場における作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  • (注) 建設業の一人親方については、請負契約に基づく工事について認められるものであるから、自宅の補修を行う場合は、業務遂行性は認められない。「直接附帯する行為」については、中小事業主の場合に準じて判断するものとするが、作業中途において当該工事に必要な資材等を購入に行く行為等は必要行為に該当する。
(ハ) 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
  • (注) 建設業の一人親方について特別加入を認めているものであるから、自家内作業場において請負契約によらないで製造又は販売を目的として建具等を製造している場合については、業務遂行性は認められない。
(ニ) 請負工事に係る機械及び製品を運搬する作業(手工具類(鋸、鉋、刷毛、こて等)程度のものを携行して通勤する場合を除く。)及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  • (注1) 請負工事に係る機械及び製品を自宅から工事現場まで運搬する場合は、業務遂行性は認められるが、自宅から工事現場に赴く途中にぴて、資材等を購入する場合は、自宅から資材店までの間は一般的に通勤と見られ、業務遂行性はは認められない。」しかし資材店から工事現場までの間については業務遂行性が認められる。
  • (注2) 「直接附帯する行為」とは、前記「中小事業主等」(1)イに掲げる行為をいうが、この場合は、荷の積卸作業、運行中の自動車等の故障・修理等が該当する。 *生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為
(ホ) 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上
  • (注) 自宅から請負契約に係る工事現場へ赴くのは一般的に通勤であり、業務遂行性は認められないが、台風、火災等のため工事現場へ建物の保全等のため緊急に赴く場合は、業務遂行性を認めるものである。

一人親方と判断するポイント【一人親方の判断目安】 

  • 労働者を使用せず 
  • 常態として
  • 単独で
  • 請負事業を行う者

一人親方と個人事業主の違い

一人親方労働者を使用せずに常態として単独で事業を行う者。
労働者を使用せずに、特定の事業をおこなう人のことを「一人親方」といいます。
建設業を営む人が、自分自身のみで、あるいは自分を含めた家族とだけで業務をおこなっている人
個人事業主法人(会社)にせず個人の資格で事業を行う者
そのため、一人親方も広い意味では、個人事業主の一種です。
法人の場合は設立した際、法務局にて登記をおこなう必要があります。ただし、個人事業主の場合、そのような手続きは不要です。その代わり、税務署に「開業届」を提出する必要があります。
ちなみに、近年、人口・経済の規模が増加傾向にある「フリーランス」も、個人事業主と同義です。

個人事業主は必ずしも1人で事業を行うのではなく、家族のみ、あるいは少人数の従業員を使用して経営する場合があります。

このことから一人親方は必ず単独で事業を行う者とされているので個人事業主とは性質の異なるものとなります。

労災保険法における一人親方の特別加入の条件

一人親方としての特別加入については「労働者を使用せずに常態として単独で事業を行う者」となります。

一人親方労災保険に加入できる者は、
  • ・労働者を使用せず、法人・個人を問わず、お一人で仕事を請け負っている一人親方。
  • ・労働者を使用する日の合計が一年間に100日未満で、請負契約で仕事をしている一人親方。
  • ・家族従事者(親子でお仕事をするときは、親及び子のそれぞれが一人親方)
  • ・法人(会社)で役員のみで仕事をしている者(役員それぞれが一人親方)。
  • ・一人親方の集まり(請負契約関係)で仕事を受注するときはそれぞれが一人親方。
  • ・特定の元請会社から雇用契約になく、お一人で仕事を請け負っている一人親方。

なお、アルバイト等を雇用する場合、一年間のうち延べ100日を超える場合は、一人親方労災保険組合から労働者を使用する中小事業主となり労災保険の団体を労働保険事務組合へ変更する手続きが必要です。

一人親方労災保険に加入する条件

年齢制限はなし

18歳未満でも一人親方労災保険に特別加入は可能です。
独立してお仕事をするには親方の元である程度の経験と知識を持ち責任ある行動が求められます。
このため、未成年者の立場に立ち総合的に判断することを望みます。

請負契約にもとづき建設現場内において行われる建設工事及び付帯する行為

例えば請負契約を締結し、足場を組む、ゴンドラを使用する等建設の態様によりおこなう外装および窓の清掃等の業務は加入できます。

特別加入の申請手続

中小事業主↗

労働保険事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」 を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し 、その承認を受けることになります。

一人親方 ↗

特別加入団体を通じて「特別加入申請書(一人親方等)」を所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に提出し、その承認を受けることになります。
※特別加入団体は全国に3173団体あります。(令和2年現在)

お問い合わせ・お申込み

  • ※元請工事のない事業所のみとさせていただきます。元請工事がある事業所はお受けすることができません。
  • ※雇用保険関係の手続きは原則行っていません。ご相談ください。
  • ※社会保険労務士報酬は、いただきません。
  • ※会費を安くしていますので、一括払いのみとさせていただきます。