一人親方にとっての作業別ヒヤリハット事例【とび工事編】

建設業におけるヒヤリハットとは

建設業におけるヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ヒヤリとした、あるいはハットした事例の事をいいます。労働災害を無くす為には、この様なヒヤリハットが起きた時点で、芽を摘む事が大切です。

ハインリッヒの法則（1：29：300の法則）

アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則です。「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害（死亡や手足の切断等の大事故のみではない。）があったとすると、29回の軽傷（応急手当だけですむかすり傷）、傷害のない事故（傷害や物損の可能性があるもの）を300回起こしている。」というもので、300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。また、ハインリッヒは、この比率について、鉄骨の組立と事務員では自ずから異なっているとも言っていますが、比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則としては、現在も十分に活用できる考え方です。

同様の研究としては、バードの事故比率があり、297社の175万件の事故報告を分析して、1（重傷又は廃失）：10（傷害）：30（物損のみ）：600（傷害も物損もない事故）の比率を導き出しています。

これらの研究成果で重要なことは、比率の数字ではなく、災害という事象の背景には、危険有害要因が数多くあるということであり、ヒヤリハット等の情報をできるだけ把握し、迅速、的確にその対応策を講ずることが必要であるということです。

建設業におけるとび工事のヒヤリハット事例

とび工事

資材等に躓く転倒など

• 資材のつまづきに注意！

足場上での作業に集中してしまい、足元の注意がおろそかになってしまうことがあります。同時に、足元に資材を置かない様にして通路を確保、暗い時や高い場所では特に危険です。

足場上での資材の受渡の際のリスク

• 足場上での資材の受け渡しに注意！

足場上での資材の受け渡しは、資材を落としそうになったり、バランスを崩して転落する恐れがあります。手渡しの際は、声を掛け合い、無理な体勢での受け渡しはしないようにしましょう。

足場板の天秤のリスク

• 足場板の天秤に注意！

建設現場では、足場板の天秤状態は、非常に危険を伴う為、足場板が固定されているか、確認しましょう。また、足場板が張り出すくらいであれば重ね合わせて、段差に気をつけた方が、安全です。

熱中症のリスク

• 熱中症に注意！

水分や塩分をこまめに補給する。異変を感じたら休憩を取るなど、体調管理を徹底など手遅れになる前に行動する必要があります。目眩や立ちくらみ、失神等で2次災害を招かない様に気をつけましょう。