国土交通省が加入を推進している社会保険 とは?

国民皆保険として法律で国民の加入が義務づけられている保険制度には、医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険があります。 これらはいずれも1人では支えきれない暮らしの中の避けがたいリスクを国民全体で支えるための仕組みです。

医療保険は、病気やけがで病院にかかった際に医療費がかかるリスクに対し、一定の自己負担だけで治療を受けられるようにするもので、健康保険や国民健康保険などがあります。年金保険は、年をとって仕事ができなくなり、収入がなくなるリスクに対し、一定の年齢以上になったらそれまでの加入期間に応じて毎月年金(障害を負ったときや本人が亡くなった時は障害年金や遺族年金)の給付を 受けられるもので、厚生年金や国民年金などがあります。

雇用保険は、失業して収入がなくなるリスクに対し、生活を安定させて就職 活動ができるよう、一定期間、手当の給付を受けられるものです。
労災保険は、業務上や通勤上の傷病リスクに対し、療養費用など の支給を受けられるものです。
この4保険のうち、労災保険は、建設業の場合、原則として元請が一括して加入する方法が一般的ですが、医療、年金、雇用の各保険は、企業ごとに加入することになっています。
しかし、建設業の場合、下請を中心に企業の未加入、労働者の未加入が多数存在し ています。 このため、医療保険、年金保険、雇用保険を対象として、法律の規定に沿って、加入を勧める為の取組が進められています。

国民皆保険と国民皆年金

わが国ではすべての国民が公的な医療保険制度に加入できることになっています。これを国民皆保険と言います。また、全ての国民が公的な年金制度へ加入できることになっており、これを国民皆年金と呼んでいます。つまり国民すべてに社会保障制度が整っています。
ということは当然に加入が義務付けられています。「私は絶対病気にならないから医療保険制度に加入しない」とか「将来年金がもらえるかどうかわからないから年金制度に加入しない」というわけにはいきません。

個人事業と法人の社会保険

個人事業主が加入する社会保険は国民健康保険と国民年金です。また、法人を設立したら加入する社会保険は健康保険と厚生年金保険です。そして厚生年金保険と同時に国民年金にも加入することになります。法人の場合、社長さんひとりで従業員を雇っていない状態でも健康保険と厚生年金保険の加入義務がありますのでご注意ください。

国の社会保険未加入対策

「補償が手厚いのはわかったけれどやっぱり保険料の負担が大変だから加入しないでおこうかな……」と思っている法人の社長さん。脅すわけではありませんが、実は国が社会保険未加入対策に本腰を入れています。

国土交通省と厚生労働省がタッグを組んで建設業の社会保険加入に力を入れ、平成29年度には100%加入を目指しています。国土交通省は下請け作業員の保険加入を徹底させ、未加入業者は国土交通省発注の工事から排除する考えです。建設業の許可も出さないというのですからかなり力を入れているのがわかるでしょう。

また、名称・所在地・法人番号などから社会保険の加入状況を誰でも簡単に確認することができます。その企業への就職、または取引を考えている人が検索することもあるでしょう。

(厚生労働省:厚生年金保険・健康保険適用事業所情報を検索できます