有機溶剤健康診断(有機溶剤中毒予防規則第29条)

法令で定められた有機溶剤業務に従事する労働者に対しては、雇入れ時、当該業務への配置替え時およびその後6月以内ごとに1回定期に、次の項目の健康診断を実施しなければなりません。

【必ず実施しなければならない項目】

1.業務歴の調査

2・有機溶剤による健康障害の既往歴の調査

・有機溶剤による自覚症状および他覚症状の既往歴の調査

・有機溶剤による5?8および10?13に掲げる異常所見の既往の有無の調査

・4の既往の検査結果の調査

3.自覚症状または他覚症状の有無の検査(下欄1―22の症状)

4.尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査(表1参照)

5.尿中の蛋白の有無の検査

6.肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)

7.貧血検査(赤血球数、血色素量)

8.眼底検査

※このうち6および8は、一部の有機溶剤のみとなります。

【医師が必要と判断した場合に実施しなければならない項目】

9.作業条件の調査

10.貧血検査

11.肝機能検査

12.腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く)

13.神経内科学的検査

※4の検査については、年2回の検査のうち1回については医師の判断で省略できることができます。省略する際には、有機溶剤の代謝物の検査等の省略条件により判断することになります。

※自覚症状または他覚症状については、医師が次の項目のすべてをチェックしなければなりません。

【医師が確認しなければならない自覚症状および他覚症状】

1.頭重 2.頭痛 3.めまい 4.悪心 5.嘔吐 6.食欲不振 7.腹痛 8.体重減少 9.心悸亢進

10.不眠 11.不安感 12.焦燥感 13.集中力の低下 14.振戦 15.上気道又は眼の刺激症状

16.皮膚又は粘膜の異常 17.四肢末端部の疼痛 18.知覚異常 19.握力減退 20.膝蓋腱・アキレス腱反射異常 21.視力低下 22.その他

代謝物の量の検査、肝機能検査、貧血検査、眼底検査を実施しなければならない有機溶剤

有 機 溶 剤 の 種 類

検 査 項 目

代謝物

肝機能

貧血

眼底

キシレン、スチレン、トルエン、1,1,1-トリクロルエタン、 ノルマルヘキサン

N,N-ジメチルホルムアミド、トリクロルエチレン、テトラク ロルエチレン

クロルベンゼン、オルトジクロルベンゼン、クロロホルム、 四塩化炭素、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロルエタン、

1,2-ジクロルエチレン、1,1,2,2-テトラクロルエタン、ク レゾール

エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ コールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコ ールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチ ルエーテル

二硫化炭素

※上記指定の有機溶剤が5%を超えて含有されている物質を製造または取扱う場合にも検査が必要

代謝物の検査内容

対 象 物 質 名

検 査 内 容

キシレン

尿中メチル馬尿酸

スチレン

尿中マンデル酸

トルエン

尿中馬尿酸

1,1,1-トリクロルエタン

尿中トリクロル酢酸または総三塩化物

ノルマルヘキサン

尿中2,5-ヘキサンジオン

N,N-ジメチルホルムアミド

尿中N-メチルホルムアミド

トリクロルエチレン

尿中トリクロル酢酸または総三塩化物

テトラクロルエチレン

尿中トリクロル酢酸または総三塩化物

【有機溶剤の代謝物の検査等の省略条件】

次に示す条件をすべて満たす場合に限られます。この判断は、産業医等の医師が当該作業現場の実態を十分に把握して、総合的に行うべきものです。

なお、省略可能とされた労働者が検査の実施を希望する場合は、その理由等を聴取したうえで判断することが大切です。

(1)尿中の馬尿酸の量の検査以外の検査の場合

1.前回の健康診断を起点とする連続過去3回の有機溶剤健康診断において、異常と思われる所見が認められないこと。

2.「尿中の有機溶剤の代謝物の量の検査」については、前回の当該検査を起点とする連続過去3回の検査の結果、明らかな増加傾向や急激な増減がないと判断されること。

3.今回の当該健康診断において自覚症状または他覚症状のすべてについて、その有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。

ただし、これらの症状が、有機溶剤以外の要因によると判断される場合は、この限りではない。

4.作業環境の状態および作業の状態等が従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると判断されること。

(2)尿中の馬尿酸の量の検査の場合

上記(1)の1から4の条件をすべて満たす場合、または以下の?から?の条件をすべて満たす場合のいずれかとすること。

1.前回の健康診断を起点とする連続過去3回の有機溶剤健康診断において、異常と思われる所見が認められないこと。

2.今回の当該健康診断において自覚症状または他覚症状のすべてについて、その有無を検査し、その有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。

ただし、これらの症状が、有機溶剤以外の要因によると判断される場合は、この限りではない。

3.前回の作業環境測定を起点とする連続過去3回の作業環境測定の結果の評価がすべて第1管理区分であること。

4.作業環境の状態および作業の状態等が従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると判断されること。